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【このガイドの目的】
大地震などの大規模災害が発生した際、会員の先生方が迷わず、スムーズに災害医療支援へ移行できるよう、行動の手順を分かりやすくまとめたガイドです。
行動の全体フロー
1 地震発生 |
2 インターネット・テレビで立川市の震度を確認 |
3 患者・職員を安全な場所へ誘導し、施設を一時クローズ |
4 立川市医師会HPの「発災後行動ガイド」にアクセス |
5 被災現状報告を送信 (1回目報告) |
6 移動の準備を整え、担当救護所へ出動 |
7 救護所到着後、トリアージ・診療を開始 |
8 復旧状況報告を送信 (2回目報告) |
9 施設の復旧・診療再開 |
10 診療再開後も救護所が閉鎖されるまで支援を継続 |
第1章 日頃からの備え
大地震はいつ起こるか分かりません。
いざというときにすぐ動けるよう、以下のものを普段から準備しておきましょう。
持ち出しバッグの準備
バックパック | 両手が空くリュック型が最適。 ワンショルダーでも可。 手さげバッグは不可。 |
食料 | 非常食・携行食 例: カロリーメイトロングライフ、 スーパーバランス6年保存、 inゼリーロングライフ など |
飲料水 | 1.0〜1.5L程度 (5年保存水など) |
レジャーシート or ゴミ袋 | 救護所での休憩時に敷物として使用。できるだけ大きいものを推奨。 ゴミ袋なら45Lや70L。 |
モバイル バッテリー | 半固体・準固体電池タイプ、 ナトリウムイオン電池タイプ、 容量10,000mAh以上、 急速充電対応を推奨。 充電ケーブルも忘れずに。 |
診察道具 | 聴診器、ペンライトなど (手元にある範囲で) |
立川市医師会 災害時用ベスト (赤色) | 以前に配布されたもの。 救護所での所属識別に有効です。 手物にない場合は、事務局に連絡してください。 |
【重要】 スマートフォンはカバンの奥にしまい込まないこと! 医師会からの緊急連絡をすぐに受け取れるよう、上着やバッグの外ポケットに入れ、すぐ取り出せる状態にしてください。 |
第2章 地震発生直後の行動
Step 1 震度の確認
まずテレビ・インターネット・防災無線などで立川市の震度を確認してください。
立川市の震度が 5強以上 ↓ 立川市は災害対策本部を設置 これに連動し、 立川市医師会 ↓ 「立川市医師会災害対策本部」を事務局内に設置します。 以降の行動はこのガイドに従ってください。 |
Step 2 院内の安全確保と施設のクローズ
以下の順番で対応してください。
【患者さんへの対応】
- 診察中の患者さんは、安全を確認したうえで帰宅または近隣の避難所へ誘導してください。
- 患者さんが院内に残ると、先生や職員の身動きが取れなくなります。
【職員への対応】
- 職員のみなさんも家族の安否を心配しています。一旦帰宅または避難所への移動を原則としてください。
- 意思確認を必ず行い、要望に沿う形で対応してください(雇用トラブル防止のため)。
【施設のクローズ】
- 患者・職員への対応が完了したら、施設を一時クローズします。
- 玄関・通用口を閉め、必ず施錠してください。
Step 3 現状報告(第1回)
施設を閉鎖したら、速やかに立川市医師会災害対策本部へ現状を報告してください。
[被災状況報告]
↑ここをタップして別ページのフォームに入力・送信してください
webフォームが使えない場合は、Eメール・電話・ファックスでご連絡ください。
Webフォーム (上記リンク推奨) | 上記の「被災状況報告」から オンラインで送信 |
Eメール | (件名:被害状況報告) |
電話 | 042-525-○○○○ |
ファックス | 042-526-○○○○ |
第3章 移動の準備
報告後、担当の救護所へ向かう前に、以下の持ち物を確認してください。
直前チェックリスト
☐ 食料(お菓子でも構いません)
☐ 飲料水(1.0〜1.5L程度)
☐ 貴重品(財布、マイナンバーカード等)
☐ ビニールシートまたはゴミ袋(45L以上)
☐ 聴診器・ペンライトなど普段の診察道具
☐ モバイルバッテリーと充電ケーブル
【注意】履き物はスニーカー・革靴で! サンダルは転倒・けがのリスクが高く禁止です。 がれきや破損したガラスが散乱している可能性があります。 |
【注意】移動時の安全確認 余震・建物崩壊・断水・ガス漏れに注意しながら移動してください。 可能な場合は、徒歩または自転車での移動を検討してください(道路渋滞・規制が発生している場合があります)。 |
第4章 緊急医療救護所・避難所救護所一覧
以下の救護所のうち、先生の施設の所在地(町名)に対応する救護所に向かってください。
緊急医療救護所(病院前設置)
立川相互病院 | 病院前の広場・駐車場に設置 |
川野病院 | 病院正面玄関前に設置 |
立川中央病院 | 病院前の広場・駐車場に設置 |
避難所(市内小中学校に設置)
町名別の対応救護所については、 下の「救護所・避難所一覧」ページで確認してください。 担当救護所が変更される場合は、 事務局からメールまたは電話でお知らせします。 |
第5章 緊急医療救護所に到着したら
以下は立川相互病院・立川中央病院・川野病院の前に開設される緊急医療救護所について説明します。
到着時の手順
- 担当の立川市職員を探してください。
- 所属医師会と氏名(フルネーム)を申告します。
※ 出務記録に必要です。申告がないと出務報酬が支払われません
- 他の立川市医師会会員がいるか確認し、出務シフトを相談・作成してください。
- 他師会・他職種の担当者と挨拶し、救護所内のリーダーとして役割分担を確認してください。
- 救護所の状況(傷病者数・重症度・必要物資など)を把握してください。
- 活動を開始します。
災害医療の基本原則(CSCATTT)
大規模災害時の医療は、平時と異なる考え方が必要です。以下の原則を念頭においてください。
C: Command & Control (指揮・統制) | 誰が責任者か明確にし、情報を集約・共有する |
S: Safety (安全) | 救護者自身・現場・傷病者の安全確保を最優先する |
C: Communication (通信) | 医師会本部・行政・救急隊との情報共有を維持する |
A: Assessment (評価) | 傷病者数・重症度・必要物資を継続的に評価・報告する |
T: Triage (トリアージ) | 限られた資源で最大多数を救うため、優先順位をつける |
T: Treatment (治療) | トリアージの優先順位に従って治療を実施する |
T: Transport (搬送) | 適切な医療機関への搬送を計画・調整する |
大規模傷病者発生時(MCI)の考え方
多数傷病者事案(Mass Casualty Incident: MCI)における鉄則
|
【重要】シフト交代を必ず行う
|
トリアージの実施(START法)
* 見ながら実施して大丈夫です! 慣れていなくても手順通りに進めれば誰でもできます。 |
以下のフローチャートに従ってトリアージを実施してください。
赤タグ(T1) | 最優先治療群。 生命の危機があり直ちに処置が必要。 |
黄タグ(T2) | 待機的治療群。 重症だが、少し待っても生命の危機はない。 |
緑タグ(T3) | 軽症群。 自力歩行が可能で軽症・軽傷。 |
黒タグ(T0) | 死亡・不搬送群。 死亡確認済み、または救命が絶望的な状態。 |
トリアージタグは右手首への装着が原則
右手首が装着不可の場合は、左手首 → 右足首 → 左足首の順に。複数のタグを付け替える場合は古いタグを必ず切り取ってください。
再トリアージについて
トリアージは一度行えば終わりではありません。状態の変化に応じて定期的に再トリアージを行い、必要に応じてタグを変更してください。特に「緑タグ(軽症)」と判断した傷病者も時間の経過とともに悪化することがあります。
処方について
救護所の常備薬は、原則として外傷に対応するための薬剤に限られます。慢性疾患の継続薬は原則対応できませんのでご注意ください。
常備薬一覧
抗菌薬(経口) | レボフロキサシン錠250mg、 クラリスロマイシンDS小児用10% |
消炎鎮痛薬 | ロキソニン錠60mg、 カロナール錠200mg、 アドフィードパップ40mg |
胃粘膜保護薬 | レバミピド錠100mg |
外用抗菌薬 | ゲンタシン軟膏 |
約束処方(標準処方)
処方番号 | 処方内容 |
Rp.1 | レボフロキサシン錠250mg 1日1錠(分1、〇食後) 3日分 |
Rp.2 | クラリスロマイシンDS小児用10% 1日〇g(分2、朝・夕食後) 3日分 |
Rp.3 | ロキソニン錠60mg 1回1錠 ムコスタ錠100mg 1回1錠 発熱または疼痛時 10回分 (1日3回まで) |
Rp.4 | カロナール錠200mg 1回2錠 屯用 5回分(成人) |
Rp.5 | カロナール錠200mg 1回1錠 屯用 5回分(小児) |
Rp.6 | アドフィードパップ40mg 7枚入り1パックまで |
Rp.7 | ゲンタシン軟膏 10g 1本 |
慢性疾患患者への対応
高血圧・糖尿病・心疾患等の慢性疾患の患者が、今後の薬剤確保に不安を感じ、救護所へ相談が殺到する場合があります。以下を案内してください。
- 救護所・避難所では慢性疾患の定期処方薬を処方できないこと
- かかりつけ薬局へ連絡をしてみるようアドバイスする
- 処方箋があっても薬局が閉鎖していれば調剤がなされないことを説明
- 発災後1~2週間たつと医療機関・調剤薬局が再開される可能性があることを説明
精神的ケア・こころのファーストエイド
大地震後は、身体的な外傷だけでなく 精神的ストレスも非常に大きくなります。 |
避難者・救護所利用者への声かけのポイント:
- 「今、安全な場所にいますか?」と声をかける
- 傾聴を心がける(診断・解決策の提示より「聞く」ことが大切)
- 強い苦痛・フラッシュバック・解離症状が見られる場合、医療救護対策本部経由でDPATへ連絡
- 自分自身のストレス管理も重要。「支援者のバーンアウト」に注意する
第5.5章 小中学校救護所に到着したら
以下は立川市立の小学校・中学校に開設される避難所支援について説明します。
到着時の手順
- 到着したら医師会事務局に報告してください。この時、避難所入口の写真を送ってください。訪問時間の管理のため必要です。
※画像データなどの送信は
[ここをクリック] メーラーが開きます。
メールタイトル:氏名・医療機関名を入力し、写真の添付のみで送信してください。
- 立川市の職員を探して訪問したことを伝えてください。この時、予定の滞在時間を伝えてください。
- ほかに立川市医師会の会員がいたら、以後のシフトなどを相談してください。
- 他師会・他職種の担当者と挨拶し、避難所内の状況を確認してください。
- 活動を開始してください。
トリアージの実施(START法)
* 見ながら実施して大丈夫です! 慣れていなくても手順通りに進めれば誰でもできます。 |
以下のフローチャートに従ってトリアージを実施してください。
赤タグ(T1) | 最優先治療群。 生命の危機があり直ちに処置が必要。 |
黄タグ(T2) | 待機的治療群。 重症だが、少し待っても生命の危機はない。 |
緑タグ(T3) | 軽症群。 自力歩行が可能で軽症・軽傷。 |
黒タグ(T0) | 死亡・不搬送群。 死亡確認済み、または救命が絶望的な状態。 |
トリアージタグは右手首への装着が原則
右手首が装着不可の場合は、左手首 → 右足首 → 左足首の順に。複数のタグを付け替える場合は古いタグを必ず切り取ってください。
再トリアージについて
トリアージは一度行えば終わりではありません。状態の変化に応じて定期的に再トリアージを行い、必要に応じてタグを変更してください。特に「緑タグ(軽症)」と判断した傷病者も時間の経過とともに悪化することがあります。
搬送該当者が出た場合
立川市の職員に伝えて、医療救護対策本部に連絡するよう指示してください。それ以上の対応は不要です。
出務の時間帯について
原則は、午前9時~午後5時までとします。
ただし、この時間帯に訪問できなかった場合は、午前6時~9時、午後5時~9時も可とします。この場合の事務局への出務報告は午前9時~午後5時に行ってください。
急性期(発災後72時間)以降について
基礎疾患を持つ被災者の継続管理
高血圧・糖尿病・心疾患・呼吸器疾患・透析患者など、災害関連死のリスクが高い人が避難所には必ず混在しています。
本来でしたら医師が定期的に診察し、症状の変化を評価したうえで、投薬継続や変更、必要に応じて病院搬送の判断を行うことは望ましいです。
しかし、立川市の都合により、避難所では医療行為は行わないことになっています。
従いまして、避難所の支援活動として先生方にお願いしたいのは、「避難市民のアドバイザーになってほしい」ということです。
自院を再開されても、できるだけ避難所への訪問を続けてください。
エコノミークラス症候群(深部静脈血栓症)の早期発見
医師が避難所を定期巡回することで、下肢の腫脹・疼痛・熱感を早期に発見する可能性を高めます。
ハイリスク者を早期に同定できることは、予後に大きく影響します。早期発見は念頭においてください。
感染症のサーベイランスと集団感染の防止
集団生活環境では、ノロウイルス・インフルエンザ・COVID-19・疥癬・結核などが急速に蔓延するリスクが高くなります。
環境衛生の管理をしている薬剤師の先生方と協力して、予防対策を支持してください。
医師の立場から、疑い患者を早期に隔離するよう指示することは可能です。
精神科的・心療内科的な緊急介入
急性ストレス反応・パニック発作・解離状態・自傷他害のリスクのある被災者の評価と初期対応は、精神科・心療内科の専門医に任せてください。
避難者の中からの拾い上げは保健師などに任せて構いません。
医療チーム・DMATへの情報引き継ぎと指揮
外部から到着するDMAT・JMAT・日本赤十字社医療班などの配置は、立川市の医療救護対策本部が行います。
もし、避難所に医療ニーズがあれば、DMAT・JMAT・日本赤十字社医療班などが避難所に赴き、先生たちと連携を図る場合があります。
その場合は、先生の視点で避難所の状況を整理・伝達してください。避難所での医療行為を代行してくれます。
第6章 復旧・診療再開に向けて
救護所での活動と並行して、自院の復旧準備を進めてください。以下の5つの条件がそろったら再開を検討します。
診療再開の5条件
インフラの復旧 | 電力・水道・ガスが使用可能であること。 インターネット回線(電子カルテ稼働)も重要。 |
建物・設備の安全確認 | 建物に大きな損傷がなく(専門家による確認が望ましい)、 医療機器が使用可能であること。 |
人員の確保 | 医師・看護師・事務スタッフが安全に出勤できること。 |
医療物資の調達 | 薬品・医療消耗品・衛生用品が、医薬品卸業者から供給される見通しが立っていること。 |
通信・連携の回復 | 立川市・医師会・他医療機関との連絡が取れること。 患者への情報提供手段(電話・HPなど)が復旧していること。 |
[復旧状況報告]
↑ここをタップして別ページのフォームに入力・送信してください
医師会事務局から情報提供し、貴院の再開判断についてアドバイスします 市内インフラ・薬局の復旧情報は医師会が収集し、事務局から会員の皆さんへ発信します。 再開に必要な条件が整い次第、医師会事務局よりご連絡いたします。 それまでは救護所や避難所支援を継続しながら、復旧作業を行ってください。 |
救護所の閉鎖の目安
発災後72時間まで | 急性期対応 (生命維持・外傷処置が中心) |
発災後72時間〜1週間 | 救護所での診療継続 + 通常診療への移行を検討 |
1週間〜1か月 | 救護所を縮小・閉鎖し、 避難所巡回診療に移行 |
1か月〜 | 通常診療 + 被災者の慢性疾患管理・ こころのケアを継続 |
第7章 診療再開後も支援活動を継続してください
診療所を再開した後も、担当の救護所が閉鎖されるまでは支援活動を継続してください。
継続が必要な理由
被災者の医療需要が続く | 外傷・感染症・精神的ストレス症状は、発災後も長期にわたって続きます。 |
救護所の運営体制補完 | 診療所が再開しても、避難生活を続ける住民への医療支援は必要です。 |
地域住民への安心感 | 医師が支援を継続する姿が、被災者の心理的支えになります。 |
医療ネットワークの強化 | 救護所との連携が維持されることで、重症患者の適切な搬送が実現します。 |
医師としての社会的使命 | 地域全体の健康と安全を守ることは、医師の使命の一部です。 |
診療の合間に避難所を訪問し、 「おからだの調子はいかがですか?」 と一声かけてください。 その一言が、被災者の孤立を防ぎ、医師への信頼につながります。 |
緊急連絡先一覧
立川市医師会 事務局(電話) | 042-525-○○○○ |
立川市医師会 事務局(FAX) | 042-526-○○○○ |
立川市医師会 事務局(メール) | |
立川市 災害対策本部 | 042-523-2111(代表) |
立川警察署 | 042-525-0110 |
立川消防署 | 042-522-0119 |
立川相互病院 | 042-523-1001 |
川野病院 | 042-527-3400 |
立川中央病院 | 042-523-5131 |
立川市医師会 発災後行動ガイド 地震編(2026年6月版)




